不正出血

不正出血の症状・原因・治療など基礎知識

不正出血とは

月経は、古事記、聖書と年代の古い歴史的資料にも記述がある女性ならではの生理的現象である。

月経期の約1週間は性器周辺から出血があるが、
これは妊娠のために子宮内膜に蓄えられた栄養と周辺の血液、性器内腔からの分泌液が混じり、体外に捨てられるために起きる現象であり、病的なものではない。

この場合の病的とは、腫瘍形成、もしくは細菌感染などによって器質的な異常を呈し、何の治療もせねば治癒に到らないばかりか、徐々に症状が悪化する可能性のある状態のことである。

不正出血こと不正性器出血とは、本来出血すべきではない時に性器から出血する現象の総称である。

病的であるか否かまた放置しても自然治癒するか、それとも悪化するか、
経血の過多、過少は問わず、月経、妊娠による着床出血、
陰部(古語ではほとと呼ばれることも)の外傷等出血してもおかしくない要因が見当たらないのに出血する場合は不正出血だとみなされる。

性器からの出血自体はおりものシートや生理用ナプキンを使うことでその場は対応できるが、多くの場合出るのは出血症状のみではない。長く出血が続く場合は貧血になる可能性もある。

また原因疾患となる子宮内膜症
子宮内膜増殖症(子宮内で子宮内膜が分厚くなりすぎうっ血する病気)腫瘍性、
がん性疾患等によって性器内壁のびらんおよびうっ血が進むことで出血している場合、
無排卵、着床困難等将来不妊症につながる状態が気が付かないうちに進行していることがある。

命と自分の未来を守るために、早めの受診、適切な対応を心掛けたい。

不正出血の症状

不正出血の主症状は、やはり出血である。

疾患によっては、他に下腹部の痛み、下腹部に触った時に張りやしこりを感じることもある。

腫瘍ではなく、血流が滞って筋肉が緊張したことによって起きるものもある。

この場合しこりは温めたり揉んだりすると移動もしくは消失することが多い。

性器の発育不全、冷え、子宮筋腫や卵巣嚢腫、がんなどでよくみられる症状のひとつだと言われている。

また、膀胱炎などでも下腹部痛が生じることがあるが、排尿時に出血があった場合も下着が汚れるので不正出血と紛らわしいことがある。

他に不正出血と紛らわしいものとしては、腫瘍や痔核による肛門部からの出血(痔核の場合は鮮やかな赤、腫瘍の場合はどす黒い色のことが多い)や何かのはずみで外陰部に生じる外傷による出血などがある。

出血のタイミングや同時に出ている症状をよく観察して受診科を決めてほしい。

万が一間違えた場合でも、医師は歯科以外の全診療科を診ることができ、もし専門外だった場合は適切な科を教えてくれるので心配はいらないが、迷った場合はまず近くの内科を受診とよいようだ。

感染症による不正出血の場合、排尿痛、帯下の量の増加と陰部の悪臭等が出ることもある。

また、炎症性の疾患がある場合は体温が上昇し、血液検査において白血球の数が増大する等の兆候が出ることもある。

不正出血の血液の性状は多くの場合、通常の月経とは趣を異にすると言われている。

少ししか出ない、時期が通常の月経周期とは全く違う、他の分泌液が混じった色(ピンク等)をしている、出たりやんだりすると言った場合は、不正出血であることが多いそうだ。

不正出血の原因

「もしかしたら病気かもしれない」最初に不正出血が起きた時には誰しもそう思って慌てるものだ。

しかし、不正性器出血の原因は人によって違い、対処法が異なる。

不正出血には子宮、卵巣、卵管、膣等性器に何らかの疾患が生じ内膜が月経時以外にはがれてしまう器質性出血と、ストレスや身体の発達、もしくは老化の過程で自律神経のバランスが不安定になることによっておこる機能性出血があると言われている。

器質性出血の場合は月経痛等の随伴症状が強くあることも多く、治療はまずその疾患を取り除いたうえで、傷ついた体に体力(と妊娠力)を取り戻させていくことが主眼になる。

しばしば治療のために合成ホルモン剤である低用量ピルが使われるのもこの器質性出血の特徴だ。

性感染症による内壁のただれが原因の場合は、抗生物質や抗炎症剤が投与されることもある。

医師の診察により、不正出血の原因が機能性出血であると判じられた場合は、
基礎体温および、体調変化の記録を継続してつけホルモンバランスの乱れを把握し、食事、睡眠、運動量、室温および湿度管理等の改善をするための生活指導がなされることも多い。
ホルモン療法の他に、体力を補うための栄養剤(鉄、亜鉛、ビタミン、カルシウム等)の投与、体質改善のための漢方薬など絡め手で出血を抑えていく手法がとられることもある。

不正出血の原因が精神的ストレスが大きく関与している場合には
抗鬱剤、抗不安薬、睡眠導入剤(睡眠リズムが整うと肉体のリズムも整うことが多いとされる)の投与と共にカウンセリングなどの心理療法が取り入れられることもあり、身体面、精神面双方からのアプローチがなされるようである。

不正出血と婦人科疾患

病的な器質性出血を引き起こす疾患には、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がん、性感染症による膣炎等があると言われている。

また、卵巣、子宮、膣自体には問題がなくとも、薬剤の副作用等で出血しやすい傾向がある人は、少しの刺激で血管が切れるので不正出血も起こしやすいので注意が必要だとされる。

不正出血の原因疾患の中でも比較的頻度が高いと言われているのは子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がんの3つである。

これらは不正出血だけではなく、無排卵や着床困難など不妊の原因になることがあるため、定期的に検査(超音波エコーなど)をして早めに発見するようにしたい。

子宮内膜症は、本来子宮体部(子宮の1番広い空間)の内壁のみを覆うべき子宮内膜がエストロゲンの異常な働きによって、まったく関係のない卵管、卵巣、その他周辺組織に出来てしまう疾患である。

この場違いな内膜が剥離すると血液がその組織に溜まってしまいうっ血するため、痛みや下腹部の張りが出る。経血の量は過多に傾くことが多い。

色が妙に濃く、塊ができることもある。治療は低用量ピルや漢方薬等処方薬を用いることが多い。

子宮筋腫は子宮の内壁表面に出来るがん性のない腫瘍で、女性の4分の1が罹患すると言われているポピュラーな婦人病のひとつである。

病変が大きい場合は、外科処置をする必要もあるが、現在では内視鏡による手術等体に負担がかかりにくい手法も登場している。

子宮頸がんは不正出血を起こす疾患の中で、最も警戒すべき疾患だと言われている。尖圭コンジローマ(いぼ状の病変ができる性器感染症)と同じウイルスが引き起こすとされ、予防のためのワクチンも開発されている。

不正出血の受診科

女性特有の月経、妊娠、それに関わる疾患を診察する科が婦人科である。

不正出血は女性にしか起きない現象であるため、受診すべき科はまずこの婦人科となる。

多くの場合、妊娠した女性とそのお腹の中の胎児をケアする産科と併設されているが、この両者は似て非なるものである。

婦人科にかかる患者の多くは異常を抱えているが、女性が子を身に宿すのは生物学的にはあたりまえのことであり、病気ではない。

病気の人と、病気ではない人が同じ医師の診察を受ける不可思議な科が産婦人科であると言える。

多くの人にとって婦人科は内科などと違って受診しづらい科(他に肛門科および泌尿器科、精神科などが敷居の高い病院の代表例)のひとつである。

生殖器と言う大変プライベートな部位にまつわる診療科であることも大きな要因だが、若い人の中には待合室に沢山いる妊婦やその付添いの人と目が合うのが大変気まずいから嫌と言う人も少なくない。

そのため、医院の中には「妊娠している人が行く場所」と言うイメージのある産婦人科の呼称を使わず、レディースクリニックと表記するところが少なくない。

他にも完全予約制にする、妊婦健診は外来診療と時間を分けると言った工夫もよくなされている。

内科など普段から懇意にしているホームドクターがいる場合は、まずそちらに相談してみると言う手もある。

かかりつけ医は、患者の普段飲んでいる薬や体質をよく把握しており、婦人科に行くべきかなどをアドバイスしてくれるので頼りになる存在だ。

不正出血と年齢

よく似た症状が出ていても、不正出血の裏側に隠れた疾患がある危険度は年齢によって異なると言われている。

適齢期にならないと、精子を作れない(生まれた時には精巣は体の奥深くにあり、成長すると同時に身体の外側に下りてくる)男性とは違い、女性は新生児の状態のときにはすでに卵子のもとである卵母細胞を将来行われるであろう排卵の数に準じて有している。

思春期になり、卵巣卵管、子宮ともに妊娠するのに十分な大きさになると、卵子は成熟し、排卵および月経が起こる。

女性性は学習、発達の上で獲得されるものだと言う定説があるが、生物学的かつ極端な言い方をすれば、少女の体の中で卵が目覚め妊娠に向かって準備をし始めた瞬間が「女と言う性」の誕生の瞬間だと定義できる。

月経がはじまる10代においては、卵巣および子宮の機能が十分に発達しておらず、子宮内膜に栄養を蓄える能力も弱いため、中間期出血が起こりやすいと言われている。

月経周期も乱れやすいうえ、月経の経験自体も少ないため、不正出血と通常の月経を識別できず戸惑う少女も多いようだ。

不正出血が起きた時、特に気を付けるべき年齢は、がんや更年期障害のリスクが高まる30歳以降だと言われている。

がんの中でも婦人科系のがんは比較的発症年齢が若いことが多く子宮頸がんは30代ぐらいから患者数が多くなる疾患だ。

とりあえず、厄年(32歳。肌と心と生殖器の本格的な曲がり角)を過ぎたら、乳がんと、子宮頸がんの検診をまめに受けるようにした方がよいかもしれない。

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