アンチエイジング

何歳から、エイジングケア始める?

老化はコントロール可能

女性が、人生サイクルのなかで、カラダの面では最も快調にすごせるはずの30代。

しかし現実には、子どもの受験で悩んだり、仕事でストレスを感じたりと、体調を壊す要因もいろいろあります。

日々診察していると、一生の好調なピーク時でさえ不調になっている人が多いことを実感します。

そして、この時期以降は、すべてのカラダのバランス(ホルモン、筋肉、内臓機能など)が下り坂となっていくようにプログラムされています。

40代のプレ更年期を経て更年期に向かう過程で、快調な人も不調に、不調な人はもっと不調になっていく「運命」にあるといえます。

でも暗くなることはありません。

主張したいのは、
「運命(加齢)に逆らうことはできなくても、老化をコントロールすることはできる」ことです。

体調のよさがピークをむかえた直後の30代や、老化があらわれはじめる40代に、いかに効果的なエイジング(加齢)・ケアをしてきたかが、「若返り力」のアップに直結します。

老化の速度を遅くし、更年期以降もQOL(生活の質)の高い生活を送るために、30代から実践してもらいたいエイジング(加齢)・ケアを紹介します。

「陽から陰」「実から虚」

エイジングに伴ってカラダが老化していく状態を、漢方の考え方にあてはめると、ふたつの流れでとらえることができます。

まず「陽から陰」への流れ。

古代中国では、すべての物は「陰」と「陽」のふたつの要素で成り立っていると考えられてきました。

「陰」はカラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態。

一方、新陳代謝が活発に行われている状態を「陽」と考え、老化によりカラダは、熱のある状態の「陽」から冷えている状態の「陰」に向かうと考えます。

もうひとつの老化の特徴は、体質が、「筋肉質でがっちり・積極的で疲れにくい・胃腸が丈夫」(実)な状態から、「痩せ型や水太り・消極的で疲れやすい・胃腸が弱い」(虚)状態に移行する「実から虚」への流れです。

「虚」とは、「虚弱体質」の「虚」のことで、とくに女性は、中国の古典に、「女性の病気は虚になることで非常に冷えて、その冷えがカラダのなかに積もり、気(エネルギー)が滞り、いろいろな病気が起きる」と記されているように、「虚」と「陰」(冷える)の状態が一緒になって病気が起こりやすいと考えられます。

「虚」の状態を細かく分類すると、
・腎が弱くなっている「腎虚」
・日々蓄積される子不ルギー(牌の気)が低下している「脾虚」
・さらに悪化して気(エネルギ士全体が不足してしまう「気虚」
・また全身の細胞に栄養を与え、カラダを潤している血の量が足りなくなる「血虚」
などにわけることができます。

ストレスなどの不調要因を抱える30代、40代は、この老化の2分類の特徴で見ると、「陽」から「陰」、「実」から「虚」への過渡期といえます。

つまり、新陳代謝があまり活発でなく、虚弱体質とまではいかないけれど、絶好調でもない状態。

エネルギーが滞る「気うつ」

40代のフリーライターの女性は、徹夜つづきで生活のリズムが乱れがちな毎日を送ってい。

るうちに、原稿の締め切りまえにはのどになにかが詰まった感じがしたり、呼吸が浅くなる症状になりました。

この症状は、気(エネルギー)がカラダのなかでうまくめぐらず、ある部分に滞ってしまう「気うつ(気滞)」の典型的なケースです。

これが悪化すると、エネルギーがなくなってしまう「気虚」となり、老化が加速しかねません。

この女性には、厚朴(モクレン科)や陳皮(ミカン科)が入った漢方薬を処方したところ、体調が回復。

「虚」に行くまでの下り坂を転げ落ちないですみました。

このほか、気のめぐりが悪い症状としては、気が上半身にだけ上がっていき、発作的にのぼせたり、カーツと怒ったり、イライラしたりする「気逆」があります。

この場合は、桂枝(シナモン)や半夏(サトイモ科)などの生薬で、気が下にも行くようにするのが効果的です。

また、この年代は、血のめぐりが悪いために体調不良となるケースも多く見られます。

血液の循環が悪い「瘀血」

オフィスでのデスクワークが中心という30代の女性の患者さんは、長年、生理痛がひどく、鎮痛剤を常用していました。

生理以外の日でも、仕事が忙しくなると顔がのぼせる一方で、冷えでも悩み、イライラすることが多い、とのこと。

生理中は出血とともに「気」(エネルギー)も消耗するため、体調を崩しがちです。

ふだんより睡眠時間を増やし、精神的にもゆったり過ごすようにしましょう。

また、排卵期や生理予定日の直前もエネルギーが必要なので無理をしないようにすることも、生理中の体調を整えるのに大切です。

生理のトラブルが彼女のカラダの不調で一番の問題点だと判断し、まずは桃仁(モモの種子)や牡丹皮(ボタンの根皮)などが入った漢方薬で、血のめぐりをよくして生理痛を緩和する処置をしました。

その結果、ほかの悩みも徐々に楽になっていきました。

彼女の生理痛は、血液の循環が悪い「瘀血」の状態が原因です。

唇が紫がかっていたり、眼の下のクマやアザができやすかったり、便秘症なども「瘀血」の人の症状といえます。

血が不足している「血虚」までひどくならないまえにケアすることが、老化速度を遅らせるポイントとなります。

30代、40代は、完全に「陰」や「虚」になってしまわないようにケアすべきことを、心にとめておいてください。

「更年期様症状」へのケア

更年期にはほど遠い20代から、まだ更年期には早い40代まで、冷えやのぼせ、めまいや動悸、不眠など、更年期に見られる症状を訴え、来院するケースが増えています。

しかし、これらの患者さんの多くは、更年期のようなホルモン値の異常が見られないのが特徴です。

夜更かしや昼夜逆転の生活スタイル、ストレスなどにより、カラダに備わっている体内環境を一定の状態に保つ仕組み、ホメオスタシスが狂い、更年期障害のような症状がでてしまったと考えられます。

このように、若いころに発症する更年期に似た症状(更年期様症状)は、はっきりとした原因が見つからないため、治療がなかなかむずかしいのが実情です。

漢方医学では、更年期様症状を引き起こす原因を探り、それを改善することからアプローチする方法をとります。

たとえば、イライラや不眠などが強い場合は、ホメオスタシスのなかでも神経系に問題があることが多いので、気(エネルギー)のめぐりをよくしたり、肝の働きを整えるよう努める、といった具合です。

余談ですが、精神面にあらわれる不調については、中国の古典に、「女性は病気に対する感じ方が男性の倍ほど強く、慈悲、愛憎、嫉妬、憂慮の念が強く、感情を自分で抑えることができない」と書かれています。

そのため、「病根が深くなり(病気が悪化し)、治療に骨が折れる」とも。

別の見方をすると、女性はそれだけ敏感なわけですから、男性にとってはたわいない事柄でも、女性はココロが傷つくこともあるのだと、自分で気をつけるとともに、周囲もわかってもらいたいものですね。

ホメオスタシスがさらに悪化していくと、脳が不調に耐え切れず、卵巣への女性ホルモン分泌の命令を減らし、更年期のように卵巣の働きが低下し、エストロゲンの分泌が減少する
という、実際にホルモン値が異常になってしまうこともあります。

カラダは生身です。

いくら若くても酷使すれば、老化を早めるだけでなく、脳の命令機能にまでもダメージを与えることになります。

日々の生活に重大な支障をきたさないためにも、早め早めのケアを心がけてください。

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