
老いない体と、老化防止・老化を遅らせる方法
目次
女性は7歳ごとに夕一二ングポイントがやってくる
中国医学最古の教科書といわれる「黄帝内経素問」に、「女性のカラダは7歳ごとにふしめがある」と記されています。
要約すると、
女性は7歳で永久歯に生えかわり、頭髪が伸びる。
14歳で生理がはじまり、妊娠できるようになる。
21歳で女性らしい均整のとれたカラダとなり、
28歳でカラダや性の能力がピークに。
35歳で容姿の衰えが見えはじめ、
42歳で顔がやっれてきて、白髪が目立ちはじめる。
49歳で生理が終わり(閉経)、妊娠能力を失う。
ちなみに、男性は、8歳サイクルで、64歳(8の8倍)で妊娠させる能力を失うとあります。
たとえば、生理の一般的な周期は28日。
肌のターンオーバー(新陳代謝)の理想的な周期も28日といわれています。
28は、7の4倍。
女性のライフステージを7の倍数でとらえる考え方は、女性ホルモンの分泌量や臓器の機能、成長と老化の本来のメカニズムなどを総合して考えると、たしかに理にかなったものではあります。
「30代で老けている人」「50代で若々しい人」この違いは?
しかし、私か実際に日々観察していると、必ずしも、「7歳ごとのサイクル」の型にあてはまらない人が多いことを実感しています。
たとえば、カラダが一生のうちで一番順調なはずの20代に、冷え症で生理不順だったり、肌の乾燥に悩んでいたり。
30代ですでに白髪が目立ち、更年期のような症状がでている方など。
一方、50代なのに、潤いのある肌で張りを保っている方もいます。
現代に生きる女性のカラダの基本リズムが乱れる原因は、不摂生な生活や食事バランスの乱れ、社会進出に伴うストレスの増加といった、新たな社会的要因の影響が大きいと考えられます。
リズムの乱れは、老化を早める深刻な問題。
いきいきと年齢をかさねたいと願うのなら、この問題をポジティブに解決していきましょう。
ぜひ、ご自分にとっての最適な年齢のかさね方を考えるきっかけにしていただければと思います。
漢方医学での「老化のプロセス」
加齢や老化は「仕方ないこと」とされ、これまで「病気」とは考えられていませんでした。
しかし、たとえば更年期以降の女性に多い、骨の老化に伴う腰痛や、腔の乾燥などは、当事者にとっては「病気」に匹敵するくらいつらいもの。
漢方医学では、老化のプロセスや老化に伴う症状への対応策が、いろいろとそろっています。これらを上手に活用していけば「若返り力」がアップしますから、結果として、40代でも、「とても40代には見えない人」になることができるのです。
漢方医学では、老化現象を、
・臓器そのものの機能が衰えること
・それぞれの調整力が低下すること
の両面からとらえる見方があります。
たとえば、「年齢を重ねるごとに食が細くなる」という方は、胃腸が弱ってきたことが原因。
一方、「子どものころは冬場でも半袖で平気だったのに、いまは夏場でも長袖の下着を身につけないと寒くて仕方ない」という方は、体温の調整力が低下してきたといえます。
あなたの老化を左右する「脾」と「腎」
さらに、こうした機能や調整力が低下するのには、人間がもっている気(エネルギー)の生成に関わりの深い、「脾」と「腎」が衰えることが原因にあると考えます。
「脾」は、西洋医学でいう胃腸機能のことで、胃と腸だけでなく、消化吸収の働き全体を指します。
日々の生命力を生産するところとも考えられ、「後天の気」に関わっています。
一方「腎」は、西洋医学でいう腎臓機能(心臓から送られてくる血液から余分な塩分や老廃物をろ過して尿として排出する)のほか、カラダ全体をあたため、水分代謝全体や生殖機能、歯や骨、呼吸など、その人がもって生まれた生命力、「先天の気」を蓄えています。
「脾」のケア方法
たとえば、脾が弱っている(脾虚)ケースでは、胃腸が衰えてくると、食欲がなくなり、栄養がカラダに行き渡らないため、筋肉も弱ってきます。
自分のカラダでエネルギーをつくりだせませんから、疲れやすくなったり、肌荒れ、内臓下垂などの老化現象があらわれます。
また、最近では、ストレスや不摂生などで、若いうちから機能や調整力が乱れ、老化現象を起こしているケースも見られます。
ただ脾虚の場合、後天的なエネルギーが不足しているわけですから、意識的にエネルギーを補充することで、老化現象の加速を遅らせることも可能です。
「腹八分目」「十分な休息」などの規則正しい生活に近づくよう心がけ、消化機能にダメージを与えないように気をつけることが、牌ケアの第一歩です。
「腎エネルギー」の使い方次第で美しさが変わる
一方、腎が衰えている(腎虚)ために起こる老化現象の場合は、ちょっとした「知恵」や「知識」が必要となります。
腎は先天的なエネルギーですから、生まれたときからエネルギー総量がきめられています。
そのため、いかにもともと備わっている腎エネルギーを無駄に使わないようにするか、また、すり減らしてしまった腎エネルギーをいかに補うか、が有効な老化防止策となります。
なぜあの人は、いくつになっても美しいの?
以前テレビ番組で、女性の年齢をあてるクイズを見ました。
実年齢は40代なのに、30代に見える人がいる一方で、50代に見られてしまった人がいたりと、それぞれの実年齢を聞いて出演者一同がビックリ、という内容でした。
たしかに診察していても、20代の患者さんのだいたいは、実年齢と見た目の年齢が一致しますが、30代以降は、年齢を経るごとに実年齢と、見た目年齢のギャップの個人差が、大きくなっていくように感じます。
実年齢と見た目の年齢の差が生じるのは、ひとつに、前述の「腎」が関わっていると考えられます。
腎の機能の衰えによって起こる症状
顔色が悪い、皮膚にツヤがない、白髪が多い、頭がふらつく、眼がかすむ、 眼が疲れる、眠りが浅い、夢を見ることが多い、動悸がある、不安を感じる、全身が倦怠感におそわれる、寒がりになる、足が冷える、すぐにトイレに行きたくなる、腰がだるい、腰が痛い、口のなかが渇く、耳が遠い、耳鳴りがする
これらは、老化に伴う症状そのもの。腎は、親から受け継いだ生まれもった先天的な気(子不ルギー)を蓄えていると考えられていますから、その機能は年齢を重ねるごとに自然と減少していく運命にあります。
ですから、悲しいかな、40代になって「20代に戻りたい」と、時間の針を逆戻りさせることは不可能なのです。
しかし、ここは発想の転換。40代が経験する衰え(老化)を自分自身で緩やかにすることでしたら、不可能ではありません。
つまり、自分で老化速度を遅くするパワー、「若返り力」を備えることはできる、ということです。
別のいい方をすると、腎子不ルギーの使い方次第で、おなじ年齢でも「若々しく見える人」と「老けて見える人」の差がでてきます。エイジングーケアのポイント「腎」についての知恵と知識を、もう少しくわしくお話しましょう。
あなたの「パーソナル年齢」はいくつ?
腎は、成長や老化など一生に関わる気(子不ルギー)を蓄えているので、ロングースパンで考えなくてはいけない機能です。
そのため、「ちりも積もれば山となる」で、毎日のライフスタイルの積みかさねが、腎の機能向上または低下をもたらすことになります。
たとえば、ちょっとした冷えや腰痛、頭痛などの。プチ不調”をそのままにしておと、放っておいた期間の長さだけ、腎に悪影響を及ぼすことになり、結果的にその分だけ老化を早めることにもなりかねません。
反対に、日ごろから生活に気をつかっている人は、腎パワーの衰えが少なく、「40代にしか見えない50代」や「60代でも髪は黒々」も不可能ではないのです。
「腎」の具体的ケア方法
腎のケアにあたっては、まず、これまでお話ししたことを参考に、カラダの歪みを、①程度が軽いうちに、②早めにケアして、腎のエネルギーを無駄にすり減らさないことが肝要です。
さらに、積極的(ポジティブ)に腎エネルギーを下げないようにするためには、漢方薬の活用が効果的。
・地黄(ゴマノハグサ科)
・山薬(いわゆる「ヤマイモ」)
・山茱萸(ミズキ科)
などが入った漢方薬は腎の機能を高める作用があります。
また、漢方薬には、老化に伴うストレスに耐える力を身につけることも期待できますから、精神的なゆとりもでてきて、「ココロもカラダも老けない私」をプロデュースすることができるはずです。
私は、実際に「腎ケア」ができている方とお会いするたびに、見た目はもとより、内面からかもしだされる「若々しいオーラ」を感じます。
そこで、実年齢とは別に、見た目や内面にあらわれる年齢を「パーソナル年齢」と命名してみました。
パーソナル年齢をいかに下げるか(いかに老けないようにするか)について、漢方薬を積極的に活用しながらのケア方法をお話ししたいと思います。
ケアは思い立ったときがチャンスです。実際に老化を感じだしてからのケアでも遅くはありませんが、「老化対策を意識するには早い」と思いがちな30代からのケアも大事です。
ケアをはじめる時期が早ければ早いほど、腎エネルギーをすり減らす程度が少なくなる=老化速度を遅くすることができる、と心得てください。