
女性の若々しさに、関係するホルモン
女性の健康を左右するホルモン
「女性は7歳ごとに夕一二ングポイントがやってくる」で見る中医学の古典では、女性の一生を、生理のはじまり(初潮)から終わり(閉経)までの流れで示しています。
このように、毎月の生理は、女性の健康状態を確認する重要なバロメーターです。
さらに生理は、女性ホルモンの分泌量の変化によって起こっていますから、女性のカラダの一生は、ホルモンの影響をつねに受けているわけです。
ホルモン(ギリシヤ語で「刺激する」という意味)は、脳からの指令を伝える命令系のうち、内分泌系の命令を伝達する物質で、環境や体調の変化にカラダをうまく順応させる役割があります。
現在わかっているだけでも約70以上。
とくに女性の場合、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった、女性特有のホルモンが健康状態を左右する重要な働きをしています。
卵巣でつくられるエストロゲンは生殖の働きを促進し、プロゲステロンはエストロゲンの作用を補います。
このふたつの女性ホルモンがバランスよく分泌されていると、新陳代謝が促され、順調な生理を迎えることができます。
さらに、健康なカラダや肌がつくられ、コレステロールの増加が抑えられ、動脈硬化や骨の老化を防いでくれます。
ただ、40歳をすぎ、卵巣の働きが衰えはじめると、女性ホルモンの分泌量は徐々に減り、50歳前後で生理が停止(閉経)すると激減します。
閉経前後の約5年間(延べ約10年間)を更年期と呼び、とくにこの期間は、エストロゲンの減少により、カラダがコレステロールをため込み、太りやすくなるほか、冷えやのぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、動悸、めまいなどの症状がでます。
また、ホルモンバランスがかわると、自律神経の中枢も影響を受けます。
さらにこの年代なると、親の介護問題や自分自身の老いに直面するなどのストレスを抱え、イライラや倦怠感、憂うつ、不眠などの精神的な症状が起きることもあります。
これらの症状が日常生活に支障をきたすほどひどくなった状態を更年期障害といい、また患者さんは、これらの症状が日々かわる(不定)と訴える(愁訴)ので、不定愁訴とも呼ばれています。
更年期は、すべての女性に組み込まれたプログラムではありますが、こうした変化についていけず、肉体的にも精神的にもつらい、という場合は、ガマンしないで医師に相談してみたり、漢方を試してみてください。
ひとつの処方でも複数の症状を改善することが多いですし、精神的なつらさにも効き目がありますから、不定愁訴には「もってこい」といえます。
また最近では、214ページでお話ししたように、ホルモンバランスが整っているはずの20代、30代や、まだ更年期には早い40代(プレ更年期)が、更年期障害に似た症状を訴えるケースが見られます。
こうした「カラダのプログラム異常」は、結果的に老化を早めることにもなりますから、要注意。早め早めのケアにも、漢方は効果的です。