更年期 症状

更年期障害の原因と女性ホルモンの関係

なせ、更年期障害が起きるのか

更年期障害が起きる原因は3つあるといわれています。

1つは、に女性ホルモンの急激な減少、2つ目は環境の変化、3つ目が精神的なものの影響です。

そのなかで、1つ目の女性ホルモンの減少は加齢にともなう肉体的な変化ですから、避け て通れません。

しかし女性ホルモンが減少すると、なぜ自律神経失調症のような更年期障 害が起きるのでしょうか。

女性ホルモンは、卵巣が勝手に分泌するわけではありません。

脳の下垂体からの指令を受けて女性ホルモンを分泌するのです。

そのときの指令役が性腺刺激ホルモン(卵胞刺激 ホルモンと黄体形成ホルモン)で、下垂体は視床下部から、性腺刺激ホルモンを出すよう に命令を受けます。

つまり、
脳の視床下部

下垂体

卵巣に指令が伝わり、
エストロゲンやプロゲステロンが分泌されるのです。

通常は血中にエストロゲンが少なくなると、下垂体から卵胞刺激ホルモンが放出され、その刺激を受けて卵巣がエストロゲンを分泌します。

ところが卵巣機能が低下してくると、いくら下垂体が卵胞刺激ホルモンを放出しても、卵巣はそれに応えることができなくなってきます。

するとますます卵胞形成ホルモンが放出されるようになり、そのホルモンのアンバランスからさまざまな症状が生じてくるのです。

更年期に起きる症状はほとんどが自律神経失調症です。

なぜかといえば、内分泌(ホルモンの分泌)の中枢が自律神経の中枢と同じ視床下部にあるからです。

卵巣が女性ホルモンを分泌しなくなると、視床下部の内分泌中枢は一生懸命性腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌して下垂体を刺激し、卵巣に女性ホルモンの分泌を促します。

いってみれば内分泌中枢は過度の興奮状態にあり、この興奮がすぐ隣りにある自律神経に伝わるために自律神経のバランスも狂ってしまうのです。

そのため、自律神経失調症状が現れるのです。

さらに悪いことに、視床下部には情動をつかさどる中枢もあります。

更年期にうつ状態になったり、精神的に不安定になるのは、内分泌や自律神経の中枢が乱れて、その影響を情動の中枢が受けるためです。

このように内分泌、自律神経、情動の3つの中枢は同じ視床下部にあり、相互に影響し合っています。

そのために、心身両面に症状が出てくるのです。

しかし更年期障害が起きるのは、女性ホルモンの減少だけに起因するわけではありません。

2つ目と3つ目の要因、つまり社会的・家庭的な環境の変化や精神的な影響も大きいのです。

更年期を迎える40代後半から50代にかけては、女性のライフサイクルにも変化の訪れるときです。

子どもが進学や就職で親の元を離れたり、夫も早い人では定年を迎えます。

老親を介護したり、自分たちの老後の問題など、さまざまな悩みや問題が持ち上がります。

こうした環境の変化や精神的なストレスが体調の変化と重なって、症状に拍車をかけることになります。

しかし救われるのは、更年期障害が一生続くわけではないことです。

更年期は成熟期から老年期への橋渡しの時期で、女性ホルモンのない環境に体が慣れるまでの過渡期です。

体がその環境に慣れれば、自然に症状もおさまってきます。

しかし更年期障害が落ちつくころ、じつは女性は、失われた女性ホルモンの本当の役割を知ることになるのです。

2つの女性ホルモンの働き

そのことにふれる前に、少し女性ホルモンに目を向けてみましょう。

私たちの体の中には、40種類以上のホルモンが分泌されているのだそうです。

女性ホルモンもその1つで、男性ホルモンとともに性ホルモンといわれています。

これは文字どおり、「女らしさ」「男らしさ」を発現させるホルモンです。

女性が男性と違うのは、「産む性」をもって生を受けていることでしょう。

子孫をのちに残すという大事な使命をまっとうできるのは、ひとえに女性ホルモンがあるからです。

女性らしい体を作り、異性を惹きつけ、受精をして妊娠・出産し、育児に備えられるのも、すべて女性ホルモンの働きによります。

さて、女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがありますが、この2つの作用はまったく異なります。

一般に女性ホルモンといえばエストロゲンをさしますが、これは女性らしさの発現が、もっぱらエストロゲンの作用によるからです。

プロゲステロンは、ときにエストロゲンの作用を抑制したり、相反した作用をすることがあります。

しかし、この2つがバランスよく機能して月経周期をつくり、女性としての機能を保っているのですから、どちらも女性にとっては大切なホルモンです。

では、この二つのホルモンは体にどのような働きをしているのでしょうか。

それを知ると、女性ホルモンが分泌されなくなったあとにどのような変化が体に起きるか、漠然とながらわかってきます。

エストロゲンは、女性の生殖器の発育を促したり、生殖器を感染から守るために子宮頚部から粘液を分泌させます。

生殖器とは、子宮や卵巣、腔、乳房など、生殖に関するすべての臓器をさします。

月経に対しては排卵を促し、排卵後は子宮内膜を増殖させて受精卵の着床に備えます。

また性交をスムーズにするために、腔粘液の分泌を促すのもエストロゲンの作用です。

エストロゲンは全身の健康にも貢献しています。

悪玉といわれるLDLコレステロールを抑えて、善玉のHDLコレステロールを増やすのです。

また、血管を拡張する物質NO2(二酸化窒素)を作って血流をよくする作用があります。

つまり血管や血液を健康に保つのに、なくてはならないホルモンなのです。

また骨に対しても、かけがえのない働きをします。

カルシウムの吸収をよくしたり、コラーゲンの合成を促進して骨を丈夫にするほか、骨からカルシウムが流出するのを防ぐのです。

こうした働きのほかに、若さや美しさを保つためにもエストロゲンは不可欠です。

肌や髪に潤いを与えたり、脂肪を分解して肥満を防ぎます。

またバストやヒップに脂肪を集め、反対にウエストにはつかないようにしてくれるのもエストロゲンです。

若いころのみずみずしい肌や髪、女性らしいメリハリのあるプロポーションは、エストロゲンなしでは叶わなかったことなのです。

一方のプロゲステロンは、妊娠に備えて働くホルモンです。

排卵後、エストロゲンによって厚くなった子宮内膜は、プロゲステロンの作用によってさらに受精卵が着床しやすくなります。

また、体に水分や脂肪を蓄えて、いつ妊娠してもいいように準備します。

したがってプロゲステロンの分泌期は、太りやすく便秘しやすい傾向になります。

また流産や早産を防ぐために、子宮内膜の収縮運動を抑制します。

そしてエストロゲンが排卵を促すのに対して、排卵を止めるのがプロゲステロンです。

受精卵が着床せず、妊娠しないとわかると、プロゲステロンの分泌は低下し、厚くなった子宮内膜がはがれて生理が始まります。

このように女性ホルモンの働きを見ると、女性ホルモンが単に女性らしさを発現させるためのものだけではないことがわかります。

女性が健やかに若々しく生きていくために、欠かせないホルモンなのです。

自分の更年期を知るために

更年期の症状のいくつかは、別の病気によって引き起こされる症状とよく似ています。

年齢的に更年期にさしかかっている女性は、体調を崩すと安直に更年期障害だと判断しがちです。

ところがもしかしたら、その症状の裏側に別の病気が潜んでいるかもしれません。

動悸や息切れの裏には高血圧が、手足のしびれの影には糖尿病が、頭痛の後ろには脳の病気が隠れていることもあるのです。

くれぐれも自己診断しないで、婦人科できちんと診察を受けてください。

さて、そのときの判断です。

もちろん更年期障害か別の病気かの診断は医師にまかせるべきですが、更年期かどうかは血液検査ですぐにわかります。

女性ホルモンは卵巣で分泌された後、血中に入って身体中をめぐるため、血中エストロゲン値を調べれば判断できるのです。

自分の体内でエストロゲンがどれだけ分泌されているかは、女性にとって気になる情報ではないでしょうか。

減っていたらたしかにショックですが、そろそろ「更年期だ」という心づもりができます。

生理が不順だから何となく「更年期かしら」と不安に思っているよりも、ある程度わかったほうが対処もしやすいような気がします。

反対に、エストロゲン値が高ければ、「まだまだ現役」と自信が持てます。

血液検査では、エストロゲン(E2)だけでなく、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の数値も併せてみると、ホルモンの状態がより詳しくわかります。

エストロゲン値は排卵日とその前後によって違いますが、参考までにその基準値をあげておきましょう。

卵胞期は25~100ピコグラム/ml(ピコグラムは1兆分の1グラム)、 排卵期は150~450ピコグラム/ml、黄体期は70~220ピコグラム/mlです。

それが更年期に入ると5分の1程度に減ってしまい、閉経期では35ピコグラム以下になってしまいます。

それに対して、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH、LH)は5~10倍に増えています。

このようにエストロゲンが基準値を下回り、性腺刺激ホルモンが大幅に増えていたら、間違いなく更年期に入っていると考えたほうがいいでしょう。

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