更年期 症状

更年期の症状と特徴まとめ

若年化する更年期

「更年期ビッグバン。30代から始まる体と心の変調」

11年ほど前のこと、ある週刊誌を読んでいたら、こんなショッキングな見出しが目に飛び込みました。

更年期といえば、閉経前後の10年くらいをさします。

日本の女性の場合、平均的な閉経年齢は51歳といわれていますから、45歳から55歳くらいの間に迎えるのが一般的でしょう。

ところがそれが30代から始まるとは、どういうことなのでしょうか。

私はすぐにそのページを繰りました。

その記事によると、30代の若い女性で更年期障害と同じような不定愁訴を訴える女性が目立って増えているのだそうです。

「冷え」
「生理がない」
「疲れる」
「息切れ」
「不眠」
「骨量が減った」
「皮膚がかゆい」
「うつ」
「体を蟻が這う感じ」

彼女たちが訴えるこんな症状は、たしかに更年期の症状とよく似ています。

そして病院で検査を受けても器質的な異常は見つからず、おきまりの「自律神経失調症」と診断されることが多いとか。

なかには、血液検査で血中エストロゲン(女性ホルモン)が減少しており、「更年期の症状です」と医師からいわれてホッとする女性もいるのだそうです。

更年期にともなうさまざまな症状は、老化という避けられない人間の宿命から生まれる生理現象ですから、更年期障害もある意味ではやむを得ないものです。

ところが、それと同じような変化が若い女性の体の中でも起きているとすれば、事態は深刻です。

なぜ若い人に、こうした体の変化が現れているのでしょうか。

考えられる理由としてまずあげられるのは、ストレスです。

女性も男性と同じように働くのが当たり前の時代になり、ストレスが容赦なく襲いかかるようになりました。

ストレスがホルモンバランスを崩したり自律神経を乱すのはよく知られていますが、そういうことから更年期と同じような症状が現れてくることは容易に想像できます。

ストレスばかりではありません。不規則な生活や過激なダイエットも、女性の体のバランスを崩す原因になっています。

ダイエットによって生理が止まったり、ひどいケースでは不妊になるという話も珍しくありません。

また、女性のライフサイクルそのものが、昔と変わってきています。

20歳前後で結婚し、5人も6人も子どもを産んでいた時代に比べると、いまは少子化でせいぜい子どもは1人か2人、産まない女性も増えています。

それによって生理の回数が昔と比較にならないくらい増えていることも、女性の体には負担です。

女性ホルモンが分泌されている期間が長くなれば、それだけ女性特有の病気、例えば子宮内膜症子宮筋腫、乳ガン、子宮ガンなどを発症させる原因になりますし、またホルモンバランスが崩れやすくなります。

女性の体をめぐる環境は、大きく変化しているように見えます。

30代から始まる更年期様の症状が改善されなければ、そのまま、やがて本当の更年期に突入してしまうことにもなりかねません。

長く更年期障害に悩まされた末に、子どもを産む機会も逸して老年期を迎えてしまう。

こんなことも起こりかねないのです。

避けて通れない更年期

どういうわけか、「更年期」という言葉は、口に出すのが何となくはばかられます。

私も同じような年齢でありながら、40代後半から50代の微妙な年齢の女性に、「更年期はまだですか」とか「更年期障害は大丈夫?」などとは聞けません。

更年期は、何かタブー視されている雰囲気が暗黙のうちにあるのです。

女性の一生のうちには、ホルモンバランスが大きく変わる時期が2回あります。最初に訪れるのは、少女から大人の女性に成長しようとする思春期、2度目は、成熟した女性から老年期に移りゆく更年期です。

思春期という言葉が誇らしげに輝いて聞こえるのは、これから人生のいちばんいい時期を迎える入り口にあるからでしょう。

その反対に、更年期には人生の黄昏をイメージさせる響きがあります。

しかしだれでも、女盛りから老年期を迎え、やがて死に至ります。

老いていくことは自然の流れであり、更年期は老いを迎える準備期間でもあるのです。

最近は、男性の更年期がしきりに話題にのぼるようになりました。

女性と同じように、40代後半から50代にかけて、体調を崩したり精神的に不安定になる男性が増えているのです。

従来、男性ホルモンは女性ホルモンのように急激に減少することがないため、男性には更年期がないといわれていました。

ところが必ずしもそうではなく、実際にストレスなどで男性ホルモンが減少しているケースもあると聞きます。

このように性ホルモンの急激な減少は、男女を問わず、体に少なからぬ影響を与えるのです。

とくに女性は、女性ホルモンの影響を強く受けて生きています。

いわずもがなのことですが、女性が男性と違う最大の点は「産む性」を持っていることです。

そのために女性の体はさまざまな面から守られていますが、その守る働きをしているのが女性ホルモンです。

ですからそれがなくなったとき、女性の体は、まるで支えがなくなったかのようにいろいろなリスクに直面することになるのです。

更年期の症状は多岐にわたる

更年期を迎えて最初に現れる変化が、更年期障害といわれるさまざまな症状でしょう。

更年期障害は、「そろそろ閉経が近いんだ」ということを、私たちに有無をいわせず知らせるサインのようなものです。

しかしもちろん、すべての女性が重い更年期障害に悩まされるわけではありません。

軽くすむ人や、更年期だという意識すらなく過ぎてしまう人もいます。

更年期障害の現れ方は個人差が大きく、また症状も多種多様です。よく起きるといわれる症状とその簡単な対処法を次にあげましたが、なかには「これも更年期の症状り」と驚くようなものも少なくないようです。

それだけ女性ホルモンの作用は、幅広いということでしょう。

月経の変化

更年期障害とはいえませんが、更年期が近づくと毎月の生理にも変化が現れてきます。

無排卵月経といって、排卵のない月経が混じるようになるのです。40代を過ぎると妊娠しにくくなるのは、この無排卵周期が多くなるからです。

無排卵周期でも生理はありますから、一見いままでと変わりません。

しかし基礎体温を測れば、無排卵かどうかすぐにわかります。

排卵があると基礎体温が高くなりますが、排卵がないときは体温が上がらず、高温期がないのです。

そして、月経周期もしだいに乱れてきて、予定より早く生理が来たり、遅れたりするようになります。

これは卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が少なくなったり不規則になるためです。

閉経の訪れ方は人によって違いますが、「これが最後の生理だ」と認識できることは少なく、たいていはあとから振り返って、「そういえばあのときが、、」と思い当たることが多いようです。

のぼせ・ほてり

外気温が高いわけでもないのに、上半身が暑くてほてる症状です。

とくに顔だけカーツと熱くなる状態を「ホットフラッシュ」といいます。

こうした症状は更年期でなくても、血管が拡張すると起こります。

恥ずかしい思いをして顔がカーツと熱くなるのも、同じような状態です。

更年期に多発するのは、エストロゲンが血管の収縮や拡張に関係しているためです。

エストロゲンが減少すると、血管の収縮・拡張のコントロールがうまく行われず、一部が拡張してのぼせやほてりの原因になり、一部は収縮して冷えの原因になります。

上半身は暑いのに下半身や手足が冷たいという『冷えのぼせ』は、そのために起こります。

手足や腰の冷え

冷え症はもともと女性に多い症状ですが、更年期を迎えるとさらに症状が重くなったり、一年中冷え症が続くことがあります。

冷えは、のぽせやほてりとは逆に、血管が収縮し血行が悪くなるために起こります。

これも、エストロゲンの減少によって、血管の収縮・拡張のコントロールがうまくいかないためで、先ほども書いたように、手足は冷たいのにほてって仕方がないという人が更年期ではよく見られます。

どちらも原因は同じ血行不良ですから、積極的に体を動かして血行をよくすると、症状がやわらいできます。

手足のしびれ

手足がピリピリしびれ、ひどくなると疼痛を感じることもあります。

筋肉が収縮し、末端の血行が悪くなると、よくこういう症状が起こります。

したがって運動をしたり、体を温めて血行を促進すると、症状が緩和していきます。

しかし糖尿病や高血圧、椎間板ヘルニアのような骨の病気でしびれていることもありますから、しびれがひどい場合は、ほかに病気が隠れていないか、きちんと検査を受けましょう。

多汗

急に体が熱くなって大量の汗をかくという状態が、一日に何回も起こります。

また寝ているときに大量の汗をかく人もいるようです。

これは女性ホルモンが減少し、自律神経のバランスが崩れて起きる症状だと考えられます。

暑くもないのに自分だけ大量の汗をかくのは、不快だし恥ずかしいものです。

それがいやで外出を控えたり、家にこもりがちになることがありますが、家にこもるとよけい症状が気になります。

むしろ積極的に人に会ったり外出して、気を紛らわしたほうがいいようです。

ストレスがたまると、それがまた自律神経を乱してほかの症状を引き起こしかねません。

ただでさえ更年期はストレスに弱い時期ですから、ストレスを発散させる工夫も必要です。

動悸・息気れ

急に心臓が早鐘のようにドキドキ打つのが動悸、胸が苦しくなって呼吸がしにくくなるのが息切れです。

年をとると、だれでも階段を上ったり急ぎ足で歩けば動悸や息切れがしてきます。

ところが更年期の動悸・息切れは、とくに運動したり興奮するわけでもないのに、突然その症状が起きるのです。

これもエストロゲンの減少による自律神経失調症の一つです。

しかしなかには、高血圧や動脈硬化、心臓病などで動悸や息切れが起きていることもありますから、念のために医師の診察を受けることをおすすめします。

検査の結果に異常がないようなら、更年期障害とみなしていいでしょう。

耳鳴り

耳の中でセミが鳴いているとよくいいますが、シージーという音やキーンという音が耳の中で聞こえるのが耳鳴りです。

これも更年期に多い症状の一つで、加齢とともに耳鳴りを訴える人が増えてきます。

耳鳴りの原因はよくわかっていませんが、ストレスや疲れが原因だったり、メニエール病や耳の病気によって起きることもあります。

更年期の耳鳴りは、内耳に異常があるわけではありませんから、よく睡眠をとり、疲れをためないようにすればおさまることもあります。

一人で引きこもっていると、耳鳴りがなくても耳の中で鳴っているような錯覚にとらわれることがありますから、積極的に外に出るなどして気分転換を図ることも必要でしょう。

めまい

めまいには回転性のめまい(自分の体や周囲がグルグル回るめまい)や動揺性のめまい(床や地面が揺れるような感じのするめまい)、立ちくらみなど、さまざまなものがあります。

更年期に多いのは、立ち上がったときに目の前が真っ暗になったり血の気が引いていく立ちくらみや、体がフラフラして不安定な感じのする『ふらふらめまい』です。

脳に行く血液が一時的に虚血状態になると、こうしためまいを起こしやすくなります。

しかしめまいは、他の病気によって起きることも多いので注意しなければなりません。

とくに多いのはメニエール病や突発性難聴、低血圧などですが、耳や脳に異常がある場合もあります。

症状がひどいようでしたら、病院で検査を受けたほうがいいでしょう。

頭重・頭痛

頭の一部がズキズキ痛む偏頭痛、頭全体が重い頭重、首すじから後頭部にかけての痛みなど、頭痛にもいろいろなものがあります。

こうした頭痛が、更年期には頻繁に起こることがあります。

頭痛は、脳の血管が収縮したりケイレンして起きることが多いようです。これもエストロゲンの減少によって血管の収縮・拡張がうまくコントロールされないためだと考えられています。

また、首や肩のコリ、目の疲れなどが原因になることも多いので、コリをほぐしたり目を酷使しないように気をつけます。

しかしまれに脳血管障害や脳腫瘍などの病気が潜んでいるケースもありますから、注意してください。

首や肩のコリ

同じ姿勢をとり続けたり運動不足だと、更年期でなくても首や肩がこってきます。

それがよりひどくなるのが、更年期。

首や肩がこるのは、筋肉が緊張して血流が悪くなっているためですが、エストロゲンが減少すると血流が悪くなるだけでなく、筋肉も緊張しやすくなります。

日ごろからこりやすい人は、体を動かしたり入浴して体を温め、血流をよくすることが大事です。

腰痛

腰痛は、脊椎を支える腹筋や背筋が弱くなったり、椎間板がすり減って起きることが多いのですが、女性の場合は骨粗しょう症(骨粗鬆症)や子宮筋腫など、女性特有の病気が背景にある場合が多いので注意が必要です。

とくに気をつけなければならないのは、骨粗しょう症(骨粗鬆症)です。エストロゲンが減少すると骨からカルシウムが流出し、骨がもろくなります。

これが骨粗しょう症(骨粗鬆症)で、腰椎の骨量が減り、骨がつぶれて腰に痛みが出てきます。

年をとると背中が曲かってくるのも、骨量が減っているためです。骨粗しょう症(骨粗鬆症)の予防には、カルシウムをとるだけでなくビタミンDや女性ホルモンなども必要なのです。

プエラリアが骨粗しょう症(骨粗鬆症)によいといわれるのも、女性ホルモン様作用を外から補えるからです。

また更年期を迎えたら、定期的に骨密度を測るといいでしょう。

そのほか、子宮筋腫や卵巣腫瘍のように女性器に病気があると、腰や下腹部が痛むことがあります。

腰が痛むときは整形外科だけでなく、婦人科の診察も必要です。

頻尿・尿失禁

尿意を頻繁に催すのに、トイレに行ってもあまり尿が出ない状態を頻尿といいます。

床についてもたびたび尿意を催すため、不眠の原因になったり、冬場のトイレが脳卒中の引き金になることもあります。

尿失禁は、立ち上がったりくしゃみをした瞬間に尿が漏れるもの。

どちらも更年期のころから、頻度が高くなります。

老化や女性ホルモンの減少によって、尿道や膀胱の粘膜が萎縮したり、尿道の周囲の筋肉がゆるむのが原因です。

頻尿に対しては、神経性の面もあるのであまり気にしないようにすること。

そして寝る前には、あまり水分をとらないように心がけるといいようです。

尿失禁に対しては、お産の後にする産褥体操(さんじょくたいそう)をして骨盤底筋を引き締めたり、専用のパッドをして外出に備えると安心です。

イライラ・情緒不安定

更年期になると、ちょっとしたことでイライラしたり不安になったり、精神的に不安定になる人が増えます。

不規則な月経周期や体の変調だけでなく、老いていく不安や、家庭内でのさまざまなできごとが重なって、情緒の不安定に拍車をかけるようです。

更年期のイライラや情緒の不安定は、自分ではなかなかコントロールできません。

こうした精神的な症状は、内分泌、自律神経、情動それぞれの中枢が同じ視床下部にあり、隣接しているために起こります。

つまりホルモンバランスの乱れが、自律神経や情動を狂わせるのです。

重い更年期障害で何年も悩む人もいます

更年期の症状は全身にわたり、身体症状だけでなく精神症状にまで及んでいることがわかります。

しかしこれらの症状は、更年期障害の一握りにすぎません。

個別に見れば、もっとさまざまな症状があるのです。

しかもいくつかの症状が重なったり、くり返し現れて、何年も、更年期障害に悩まされる人がいます。

私の知り合いにも、重い更年期障害に悩まされた人がいました。

この女性を、かりにSさんとしておきましょう。

Sさんは、心に症状が現れた例です。

抑うつ状態になり、人と顔を合わせたり話をするのが苦痛でたまらなくなったのです。

近所の人はもちろんのこと、親しい友人にも会いたくなくなり、家にこもるようになりました。

一種の引きこもりです。

そのうち家事もしなくなり、ご主人や息子さんとも顔を会わせなくなってしまったのです。

最初は「怠け病じやないか」と軽く見ていたご主人も、その状態を放置できなくなってきました。

しかしまさかそのときは更年期の症状とは思っていませんでしたから、Sさんを神経科に連れていったそうです。

本来ならそこで更年期うつ症状と診断されるはずなのですが、Sさんの場合はその診断がつかず、すぐに抗うつ剤の治療に入ってしまいました。

しかし女性ホルモンの減少で起きている症状ですから、抗うつ剤で治るわけがありません。

薬を飲み続けるうちに、今度はその副作用に苦しむようになってしまったのです。

不眠やめまい、ふらつきなどを訴え、食欲もまったくなくなってしまいました。

心だけでなく体も、ボロボロの状態になっていったのです。

みかねた友人のすすめで婦人科に行き、更年期障害だとわかったのは、症状が現れて3年たったときでした。

Sさんがうつ症状と薬の副作用から立ち直るまでに、結局5年の歳月がかかってしまったのです。

元気になったSさんは、そのときのつらさをこう話していました。

「私も最初は、まったく更年期の症状とは思いませんでした。
ほてるとか冷えるとか、更年期障害のことは知っていましたが、そういう変調がほとんどなかったんです。
だから、まさか、、、という感じでした。
でも、自分でもどうしようもない倦怠感、無気力感にはまいりました。
主人や息子と顔を会わすのさえうっとおしかったんです。
その一方で、家のことも何一つする気がしないしヽできない自分に腹を立ててもいました。
矛盾するいろいろな気持ちを抱えて、それが自分の中で渦巻いているんですけど、どうしようもないんですね。
そういう状態をだれにも話せないし、わかってもらえないのもつらかった。
それにしても更年期障害だとわかったときは、ホッとしました。もっと早く気づくべきでした。」

症状は違っても、Sさんのように何年も重い更年期の症状に悩まされる人は珍しくありません。

しかしその一方で、更年期とすら気づかずに過ぎてしまったり、症状があってもごく軽くすむ人もいます。

このように、現れる症状や程度に個人差が大きいのも、更年期障害の特徴です。

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