更年期 症状

更年期障害とホルモン補充療法

更年期障害の最新治療事情

更年期を迎えてつらい症状があっても、これまでの女性は積極的に治療を受けようとはしてこなかったのではないでしょうか。

私の母もひどいのぼせ、ほてりなどに苦しめられたそうですが、もちろんずいぶん昔のことで、それを治療することなど考えもしなかったそうです。

第一、どこに相談にいっていいかさえわからなかったでしょう。

私の母と同じように、ほとんどの女性が「みんなが経験することだから」「病気ではないのだから」と自分にいい聞かせ、耐えてきたのだと思います。

また医療側も、必ずしも更年期障害に理解があったとはいえません。

「更年期だから、しかたないですね」
そんな言葉の一言で終わってしまったり、せいぜい精神安定剤や誘眠剤、痛み止めなどを処方する程度です。

しかし最近になって、更年期に対する意識は変わってきました。

更年期といっても、まだ50歳そこそこ。

不快な症状など吹き飛ばして、もっともっと元気に生きたいと考える女性が増えてきました。

医療側にも、更年期の症状に積極的に取り組もうとする動きが高まっています。

「更年期外来」を開設したり、「レディースクリニック」や「女性成人病クリニック」といった看板を掲げて、女性の病気や不調を専門に扱うようになってきたのです。

そういう医療機関で更年期の治療に使われているのが、ホルモン補充療法(HRT)です。

これは低下している女性ホルモンを人工的に補う治療で、日本では10年ほど前から行われるようになりました。

まだあまり一般的とはいえませんが、欧米ではすでに更年期の治療として定着しています。

つらい更年期障害があったらHRTを受ける。

これは、欧米女性にとってはもはや当たり前の選択なのです。

ホルモン補充療法が欧米で行われるようになったのは、1960年代のことです。

しかし当時はHRTではなくERTといって、エストロゲンの単独投与でした。

しかしERTでは子宮(体)ガンのリスクが高まることがわかり、行われなくなっていきました。

かわりに行われるようになったのが、HRTです。

エストロゲンだけでなくプロゲステロンを加えることで、そのリスクが回避されることがわかったからです。

そして80年代以降、ホルモン補充療法といえばこのHRTをさすようになりました。

ところがHRTは、乳ガンについてはデータ的にさまざまな結果が出ており、まだ完全に安全と認められたわけではありません。

しかし更年期障害や骨粗しょう症の予防・改善、コレステロールの低下作用など、有益な面が多いため、欧米では多くの女性に受け入れられています。

このホルモン補充療法のほかに、日本で昔から行われているのが漢方療法です。

更年期障害は、漢方では「血のみち症」といわれており、古い血が滞った瘀血(おけつ)によって起きると考えられています。

その瘀血の改善に、漢方薬がよく効くのです。

西洋医学では、更年期障害のような不定愁訴や自律神経失調症は、なかなか治せません。

ところが漢方薬は、そういう微妙なバランスの崩れから起きる症状を改善するのが得意なのです。

またアロマセラピー(芳香療法)も、最近では更年期の治療に使われるようになりました。

アロマセラピーはヨーロッパでは医療の一環として位置づけられており、更年期障害の改善にも高い実績を残しています。

治療に使われるエッセンシャルオイル(精油)は植物から抽出したエキスで、多くの芳香成分が含まれており、その一つひとつに薬効があります。

エッセンシャルオイルの中には女性ホルモン様作用を持つものもあり、そうした植物の精油が更年期障害の改善に効果があるようです。

日本でもアロマセラピー学会が97年に設立され、導入している医師も増えてきました。

香りを利用した治療ですから女性に受け入れられやすく、成果を上げています。

ホルモン補充療法のメリット・デメリット

漢方療法もアロマセラピーも、自然の生薬(ハーブ)がベースになっていますから、効き目は穏やかです。

だからこそ安心して治療が受けられ、ファンも多いのですが、西洋薬のような劇的な効果は望めません。

その点ホルモン補充療法は、即効的です。

以前ホルモン補充療法を受けている女性から、こんな話を聞いたことがあります。

「薬を飲んだ翌日手を見たら、シワがスーツと消えてツルツルになっていたのよ。本当にビックリしたわ」

この女性は極端な例かもしれませんが、体感できる効果はかなり早く現れるようです。

更年期障害の場合、早い人で1、2週間から、遅い人でも2ヶ月くらいで諸症状が改善していくといわれています。

また更年期障害だけでなく、骨粗しょう症(骨粗鬆症)症や高脂血症、動脈硬化など、更年期以降に起きる慢性的な疾患にも効果があります。

実際に骨量が増えたり、LDL(悪玉)コレステロールや総コレステロールが低下することが、データ的にも確かめられています。

もちろん数値に表されない効果も、たくさんあります。

先はどの女性のように、「肌がきれいになった」という美容効果。

「肌にハリが出た」
「シワが目立だなくなった」
「髪がつやつやになった」
「髪が増えた」
HRTを受けると、こんな変化に気づく人が多いようです。

しかしその一方で、無視できないのは副作用です。

出現頻度が高いのは不正出血で、月経のような出血が起こることがあります。

また乳房がはって痛くなったり、胃もたれや食欲不振などの胃腸障害、更年期のうつ症状がひどくなる人もいます。

こうした副作用よりも私がこわいと思うのは、禁忌があることです。

まず、ガンの人です。

乳ガンや子宮体ガンに現在かかっている人は、この治療を受けられません。

みなさんもご存じでしょうが、乳ガンや子宮体ガンはエストロゲンの影響を強く受けます。

エストロゲンの分泌量が多かったり、妊娠経験が少なくてエストロゲンがつねに分泌しているような人ほどリスクが高くなるのです。

そういう人がエストロゲンを飲んだら、火に油を注ぐようなものです。

ですから、現在ガンのある人だけでなく治療後5年以内の人も、受けないほうがいいといわれています。

子宮頸ガンや卵巣ガンなど、ほかの女性器ガンにかかっている人も、基本的にはこれに準じたほうがいいようです。

子宮筋腫子宮内膜症乳腺症なども女性ホルモンの影響を受けます。

しかし全部が全部受けられないわけではなく、症状の程度や治療を受ける女性の状況などに応じて選択は変わってくるでしょう。

いずれにしても、婦人科系の病気のある人は医師とよく相談する必要があります。

また、女性の病気だけでなく、肝機能の低下している人、血栓症や糖尿病にかかっている人、甲状腺や副腎など内分泌系の器官に機能障害がある人は避けたほうがよいといわれています。

こうした病気の既往がある人も、医師に相談したほうが安全です。

更年期以降のさまざまな症状に対して原因療法といわれているホルモン補充療法ですが、このようにだれでも受けられるわけではなく、また副作用があることをよく理解しておくべきでしょう。

ホルモン補充療法の実際

ホルモン補充療法は、現在日本では更年期の女性の2パーセントくらいが受けているといわれています。

欧米のレベルに比べると認知度も普及率もずっと低く、ホルモン補充療法と聞いただけで漠然とした不安を感じたり、抵抗感を示す人も少なくありません。

しかし不安感や抵抗感が強いのは、HRTに対する理解が進んでいないからでしょう。

私も初めてHRTのことを聞いたときは、ホルモンというよくわからない物質を人工的に体内に入れるなんて、逆に生体バランスが狂ってしまうんじやないかしらと、根拠のない心配をしたことを覚えています。

そこでホルモン補充療法をよく知るために、どのような治療が行われているか調べてみました。

治療を受ける際には、HRTの適応かどうか、必ず事前のチェックを行います。

この治療は卵巣機能が衰え、女性ホルモンが低下している人が受ける方法ですから、たしかに血中エストロゲンが低下していることを確認する必要があるのです。

更年期障害のような症状があっても、なかには女性ホルモンが低下していない場合があります。

ストレスなどで自律神経失調症が起きているケースで、このような人はもちろんこの治療の適応ではありませんし、受けても症状は改善しません。

そして既往症や、現在の健康状態を調べます。

先ほど書いたように婦人科疾患があったり肝臓病などの病気があると、悪化するおぞれがあるからです。

そして間違いなく更年期であり、ホルモン投与の影響を受けるような病気がないことを確認してから治療に入ります。

治療は、内服薬が一般的です。

服用の仕方は、基本的には次の3つがあります。

1つ目は周期的投与法

エストロゲンを毎日飲み、そのうちの10~14日間だけプロゲステロンを併用する方法です。

月経周期を考えると、エストロゲンが分泌されてからプロゲステロンが分泌され、月経が始まります。

周期的投与法は、このホルモンの自然の分泌に沿った投与法で、プロゲステロンを服用し終わるころ、生理のような出血があります。

エストロゲンによって増殖した子宮内膜を、プロゲステロンがはがすのです。

2つ目が、連続併用投与法です

これはエストロゲンとプロゲステロンを毎日併用して飲む方法で、プロゲステロンを飲み忘れる心配がありません。

しかし半年くらいは不規則な出血があるため、少しわずらわしい思いをします。

また比較的新しい方法なのでヽ周期投与法ほどデータが揃っていないともいわれています。

3つ目がエストロゲンの単独投与法です

エストロゲンにはエストロン、エストラジオール、エストリオールの3つがありますが、単独投与法で使われるのは作用のいちばん穏やかなエストリオールです。

エストリオールのエストロゲン活性は、卵巣から分泌される全エストロゲンの2パーセント程度しかなく、長期にわたって飲んでも副作用が少ないといわれています。

そのため、プロゲステロンを併用する必要がないのです。

骨粗しょう症(骨粗鬆症)や老人性腔炎などの治療にも使われており、更年期障害の比較的軽い人はこの投与法を用います。

プエラリアは、この投与法にいちばん近いといえるでしょう。

ちなみ、エストロンとエストラジオールを結合させたエストロゲンが使われています。

また、日本ではまだあまり一般的ではありませんが、内服薬のほかに外用薬(貼るタイプ)もあります。

これなら肝臓や胃腸に負担をかけないので、肝機能障害や胃腸障害のある人でも使えます。

いずれにしてもどの投与法を選ぶかは、医師と相談のうえで決めます。

ホルモン補充療法は効果はあるが、問題もある

こうして開始したホルモン補充療法の効果は、どんなものでしょうか。

まもなく更年期を迎えようとしている私にとってもヽ他人事ではなく、とても興昧があります。

そこで実際に治療を受けている女性に、治療効果や副作用などについて感想を聞いてみました。

Nさん、53歳

「私の場合は、たしかに効きました。受けてよかったと思っています。
とにかくひどい更年期障害だったんですよ。
顔が急にカーツと熱くなって汗がドーツと出たかと思えば、次の瞬間にはそれが冷えて寒くなってくる。
体はほてっているのに手足は冷たくて、いつも腰の当たりがゾクゾクするんですね。
また何をするにもだるくて疲れて、頭の中もボーツとしてるんです。
それまで、何でもテキパキがモットーの私としては別人になったみたいでした。
しばらく我慢してたんです。
閉経したのは49歳でしたが、そのあと2年くらいはそんな状態が続いていましたね。
でも、とうとう婦人科に行って、HRTを受けたんです。とにかく楽になりたいと思って。
効果がわかったのは、2週間くらい続けたころでした。カーツとほてる感じやソクソク感がなくなってきて、あまり疲れなくなりましたね。
ちょっとやる気が出てきたかなという感じでした。
1ヶ月くらい続けたところ、すごく楽になって、血液検査を受けたらエストロゲンも上かっていたんです。
10ピコグラムくらいしかなかったのが、40ピコくらいになっていたと思います。
そのあと調子がよかったので、HRTを止めました。
ですから、受けていた期間は3ヶ月くらいだったんじやないでしょうか。
やっぱり毎目薬を飲むのは不自然というか、体に悪いような気がしたから。
それに、出血があるのがちょっといやでした。
せっかく生理から解放されたのに、けっこうわずらわしいもんですよ。
ただ、まったく何もしないのも不安でしたから、漢方薬を出してもらっています。
漢方薬の効果ですか? 
HRTにはかないませんね。
正直いって、それほど調子よくないです。
またHRTを始めようかなと思っているんですけど、長期に飲んで大丈夫かなとか、また出血するのはいやだなとか思って、、もう少し漢方薬で様子を見て、というところですね。」

最後は歯切れの悪いNさんでしたが、更年期障害の改善効果は顕著だったようです。

しかし再開するとなると、迷いがあるようでした。

骨粗しょう症の予防のためにHRTを受けているKさん(55歳)

「私は閉経の少し前からこの治療を受けています。
更年期障害もありましたが、それより、たまたま検査で骨密度を測ってもらったら、低かったんですよ。
0.7グラム/cm3くらいしかなくて、すぐにHRTを受けなければいけないといわれました。
それから食事にも気をつけるようになって、カルシウムもたくさんとるようにしたんですけど、もう手遅れというか、女性ホルモンが足りないと結局いくらカルシウムをとってもダメなんですね。
それで、HRTを受けることにしたんです。
いま、3年くらいたちますが、骨量はわずかに増えています。
本来ならどんどん減っていくっていわれてますから、効果があるんだと思いますよ。
おかげで更年期障害もひどくならなかったしね。
でもね、できれば食べ物でよくしたいですよね。
これから先ずっと飲み続けなければならないと思うと、憂うつです。
こうなる前から、何とかしておくべきでした。」

更年期障害なら、症状がなくなれば止めることもできます。

ところが骨粗しょう症(骨粗鬆症)の場合は、長期に続けなければ、また骨量が減ってしまいます。

場合によっては、一生必要になるかもしれません。

NさんもKさんも、HRTが効果があることは実感として強く感じているのですが、長期にわたって使うことに、しかも毎日飲まなければならないことに、少なからぬ不安を感じているようでした。

HRTが日本でいま一つ普及しないのは、こうした「人工のホルモン剤」に対する漠然とした不安があるからではないでしょうか。

だからこそプエラリアのような自然の食品が待ち望まれているのです。

できれば自然のものでエストロゲンを補給したい、、そう思っているのは、私だけではないでしょう。

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