
生理不順の治療法
生理不順 まずは受診
何ヶ月も生理が来ない、またはひと月に二度も生理が来る、出血が止まらず常におりものシートが手放せないと言った現象が起き、
「自分の月経周期はもしかしたらおかしいのではないか」
と思った時にまずすべきことは記録である。
月経の記録は、基礎体温をつけることが望ましいが当座はおかしいなと思い始めた時からの月経周期と経血の量、性状、色、その時の肉体および精神の状態、その前後に何があったかなどを書きだしておくだけでも構わない。
普段から月経期間を手帳に「M(menstruationの略)」等自分だけに分かる表記で記しておくと、ずれてきたことにすぐに気づくことができる。
また、パートナーがいる人は自分に妊娠の可能性がないかも考えてみよう。
不正出血だと思っていたら、卵が着床したときに起きる出血、または他の異常だと言うこともある。
生理不順にせよ妊娠にせよ受診はせねばならないが、事態の緊急性は大きく異なる。
情報を整理して明らかに周期がおかしいと感じたら、婦人科の受診の準備をしよう。
最初から大きな病院に行く必要はないので電話帳やインターネットなどを利用して評判が良い近場の病院を探す。
膣などの状態を診る内診がある場合もあるので、女性医師がいる医療機関の利用をお勧めする。
確認できれば予約の必要の有無や、すいている時間帯も調べておきたい。
受診の際には診察がしやすいように長めのスカートと前開きの服を着用し、下着なども外しやすいものにしておくとよいようだ。
年代と生理不順
単純に月経周期の乱れと言っても、その原因や状態は人によって異なる。
年齢は生理不順を引き起こすファクターのひとつだと言われており、同じ月に二回生理が来たと言う現象でも初潮が始まったばかりの十代の人と三十前後の人、閉経間際の人では対処の仕方や疑うべき病気が違う。
初潮を迎えたばかりの時期はホルモンのバランスも整っておらず、月経の周期も乱れやすい。
多くの人が十代前半から十代後半に初潮を迎えるが、この時期は体が成長する時期であると同時に学業が忙しい期間でもある。
一度整った周期も大学受験の夜更かしなどで狂ってしまうことがある。自我が確立され、自分では大人だと思っている年代だが、医学的な知識や判断力は大人のそれに及ばない。
もし、自分のお子さんが生理不順を訴えた場合は、状況を見て受診を勧め、食事、睡眠、着用する衣服や室内の環境などを整えてやる必要がある。
十代の生理不順を将来の不妊につなげないためには、本人が自分の身体を労わると同時に周囲がそれとなくサポートすることが大切だ。
二十代から三十代に場合によっては四十代は、妊娠と言う大イベントを経験する人が多い。
出産後止まっていた月経がはじまるときに周期が乱れることもある。
もし乱れたまま中々戻らない場合は医師に相談しよう。仕事や家事が忙しく、ホルモンバランスが崩れやすい年代でもある。
歳を重ね、卵巣の卵胞の数が少なくなり閉経が近付くと月経の周期は乱れる。
この時期は更年期障害等で体調が崩れやすいので漢方薬や代替医療などを活用し、快適に過ごせるようにする工夫が必要だ。
薬と生理不順
生理不順で病院を受診した場合、治療のための薬をもらうことが多い。
子宮や神経及び血管に病的な異常がある場合はその治療薬が出され、治療すべき異常がない場合には、ホルモンバランスを整える薬が処方されることが多いと言われている。
ホルモンバランスを整える薬は卵胞ホルモンと黄体ホルモンを同時に補う薬と、黄体ホルモンのみを補う薬の二種類に分けられる。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを同時に補う薬がいわゆるピルと呼ばれるものだ。
ピルと言うと、避妊に使う薬と言うイメージが強いが、服用の仕方やホルモンの含有量が避妊目的のものと無月経および生理不順に用いられるものとは大きく違う。
避妊に用いられるのは副作用が比較的少ない低用量ピル、生理不順の治療に用いられるのは中用量ピルと呼ばれるものだそうだ。
周期的に飲む薬なので正しく飲まないと治療効果が出ないと言われている。飲み方は少し複雑なので医師及び薬剤師に解説してもらう必要がある。
ピルも、黄体ホルモン合成剤も副作用として吐き気が出ることがあることがよく知られているが数か月すると体が適応して吐き気が消失することが多いと言われている。
我慢できないほど副作用が酷い場合には、医師と相談して服用を中止し、漢方薬や代替医療に治療法を切り替えることも可能だそうなので安心してほしい。
どの薬も独断による中止はホルモンバランスのさらなる崩れなど思わぬ事態を招くことがあるので控えた方がよいそうだ。
生理不順 漢方でゆっくり改善
漢方薬はしばしば医師によって生理不順の治療薬として選択される。
漢方薬には冷え、胸の張り、精神的な不調、不眠、脱毛等生理不順以外の身体の不調も一緒に治療していくことが可能と言うメリットがあるからだ。
西洋医学とは病気の捉え方が違うので原因がよく分からない月経周期の乱れも改善が可能だと言う利点がある。
難点と言えば、味や香りが独得であることと、西洋薬よりも一回ごとの単価が高くなること、種類が多く医師によって漢方薬にまつわる知識量が大きく異なることなどが挙げられる。
漢方には、同じ症状が出ていてもその人の体質や気質生活環境によって原因が異なるという考えがある。
生理不順の原因もお血(血行不良)等様々なものがあると言われており合う薬も人によって違うため選ぶのが難しい。
また、薬が働くまでに時間がかかることが多く、治療が長期戦になりやすいと言う特徴もある。
漢方薬の中にも感染症の治療薬など即効性が高いものがあるが、副作用も強いそうだ。
因みに西洋薬でも成分が体に取り込まれるまである程度の時間を要するので生理不順の治療は気長に行う必要がある。
漢方薬は副作用が少ないから飲むと言う人が良くいるが、漢方薬にも副作用がある。
もっとも一般的だとされているのが飲みはじめに起きる吐き気だが、体が薬になれてくると吐き気が起こりにくくなるそうだ。
他に継続して服用することで起きる肝機能障害や黄疸などが薬によっては極々まれに起きることがあると言われている。
不安を感じたら、主治医もしくはかかりつけ薬局の薬剤師に相談しよう。
温熱療法と生理不順
温熱療法とは、人体の外側から熱を加えることで、不快な症状の軽減や健康促進を期待する代替補完医療の総称である。
東洋医学の影響を色濃く受けた整体や鍼灸の世界では臓器や筋肉等の働きが整い調和していることを健康な状態とみなすが、滞って動かなくなってしまった全身の血流や水分、気と呼ばれるエネルギーを再循環させるための「てこ」としてしばしば熱エネルギーや電流を使う。
温まることによって筋肉の緊張がほぐれ収縮していた血管が緩み血流量が増大することで、低下した内臓機能が改善すると言われているのである。
生理不順等女性ならではの不調と身体の冷えは密接な関係があると言われ、効率よく温めることで症状が緩和したり、医師が処方する薬の効きがよくなったりするとされる。
温熱療法として私たちに馴染みが深いものは、専門店ができたり書籍が販売されたりして自分でできる健康法として人気が高い灸、娯楽としても取り入れられている岩盤浴、伝統的な蒸風呂であるサウナ、砂風呂、温泉などがある。
温熱療法自体はどれも医療と言うよりは健康法なので、見よう見まねの我流で行ったとしても生理不順が必ず改善されると断言できるものではない。
最初は婦人科できちんと診察を受け診断をしてもらったうえで、専門家の施術を受けて頂きたい。
また、何らかの理由で体が極端に弱っている人は却って熱によって消耗してしまうことがあるそうだ。
自分で温める際には汗のかきすぎや火傷などに注意して安全に行う必要がある。