しこりの大きさと乳がんの進行は関係ある?
しこりの大きさは関係ありません。
乳がんは、乳管や小葉の中にとどまっている状態である「非浸潤がん」と、乳管と小葉の外にも転移している状態の「浸潤がん」に分類されます。
浸潤とは、がん細胞が体の組織内で増殖して、しだいに広まっていくことを指しますので、非浸潤がんは、がん細胞が血管やリンパ管に入ることはないもの。
転移を起こさない早期がんといえます。
非浸潤がんでも浸潤がんでも、ある程度進行すると、乳房のしこりとして外から触れることができます。
乳がんの進行は非常にゆっくりなので、しこりとして認識できたときには、がんの発生から何年も経過しています。
乳がんの初期症状は、このしこりと思っている人もいますが、しこりの大きさはあまり関係がありません。
「転移」しているかどうかで決まります。
乳房温存術のパイオニアとして知られる慶応大学放射線科の近藤誠先生によると、がん細胞は、できたときから転移をする「本物のがん」であるか、転移をしない「がんもどき」であるか決まっているそうです。
それというのも、がんとは、一つの細胞からできたクローンなので、一番初めにできたがん幹細胞の遺伝子に転移する能力(浸潤する力)がなければ、いつまでたっても転移できないということになります。
また近藤先生は、マンモグラフィでしか発見できなかったがんのほとんどが「がんもどき」であるため、マンモグラフィを受けないほうがよい!ともおっしゃっています。
アメリカの予防医学作業部会でも、2009年11月に「マンモグラフィによる乳がん検診は40代の女性には勧められない」と勧告しました。
不必要な治療を行なってしまう可能性が高いということです。
私自身は、乳がん検診は受けるべき、という立場です。
しかし、やはり一番大切なのは予防です! 乳がんは欧米型のがんといわれ、食事の急速な欧米化に伴い増加傾向にあります。
和食、粗食を心がけましょう。
また、エストロゲンは脂肪細胞から産生されるので、太らないように気を付けることも大切です。
適度な筋肉運動も、エストロゲンに措抗する男性ホルモンの分泌を促すので、ぜひやりましょう。